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薛 珠麗(せつ しゅれい)のブログ
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# 薛珠麗の「英語で読むミュージカル」第3弾(終了しました)
以下の催しは終了しました。

*****


2か月連続のご案内になりますが、またとないチャンスということで、
緊急開催!


薛珠麗の「英語で読むミュージカル」



ストレートプレイもミュージカルも手掛ける戯曲翻訳家が
海外ミュージカルの英語歌詞を「英語戯曲」として読み解く
「英語で読むミュージカル」講座、第3回の開催です。

英語で書かれた歌詞を日本語の歌詞へと翻訳すると、その情報量は、何と
三分の一ほどになってしまいます。ミュージカルの名作の英語歌詞には、
日本語訳に触れただけでは知り得ない様々な言葉が隠されているのです。

また、海外で生まれた演劇作品は、日本とは異なった文化や世界観を下敷きに
しています。作品が生まれる背景となった文化をほんの少し学ぶだけで、
想像もしなかった世界が広がるかもしれません。

無類のミュージカル好きでもある講師が、ミュージカルへの愛はそのままに、
英語x演劇のプロとしての経験と知識を総動員!
名作ミュージカルを英語で読み解いて、大好きな作品と更に深く豊かな
出会いをしてみませんか?


第3回は、第1回でも取り上げた『レ・ミゼラブル』再び、です!

トム・フーパー監督、ヒュー・ジャックマン主演の映画の公開前に、
英語版『レ・ミゼラブル』のテキストとがっちり向き合っておきませんか?
しっかり予習をしておけば、世紀の映画を最大限に楽しめるはずです。

前回ご参加いただいた皆さまより「時間が足りなかった」の声が続出しました
ことを踏まえ、たっぷり5時間にしてみました!

♬ 今 世界の色は変わる
日ごと塗り返されている‥‥♬

‥‥というわけで、大好きな作品の色が大々的に塗り返されてしまう前に、
最後に思いっきり、味わい尽くしませんか?


薛珠麗の「英語で読むミュージカル」


【日時】:2012年11月23日(金・祝)13時〜18時

【場所】:TKP有楽町ビジネスセンター
     〒100-0006  東京都千代田区有楽町2-2-1 ラクチョウビル
     電話:050-3803-5920
     (こちらへの講座内容についてのお問い合わせはご遠慮ください)

【参加費】:3500円
      当日、受け付けでお支払いください。


【講師プロフィール】

薛 珠麗(せつ しゅれい)
国際基督教大学を卒業後、数多くの外国人演出家やアーティストの
通訳/演出補を務めた後、戯曲翻訳や演出、訳詞や作詞、劇作も手掛ける。
主な翻訳作品に、tpt『エンジェルス・イン・アメリカ』『ブルールーム』、
パルコ劇場『ハーパー・リーガン』、日生劇場『キャバレー』他。
演出作品にtpt『蜘蛛女のキス』、劇作に世田谷パブリック『1945』など。
『バーム・イン・ギリヤド』で第1回小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞。
2012年は、帝国劇場7月公演『ルドルフ』の演出家アシスタントを務めた。


【お申し込み及びお問い合わせ】
お問い合わせ及び参加お申し込みはメールにてお願いいたします。

info@shurei-s.com(「英語で読むミュージカル」事務局)

【参加お申し込み】
1)お名前
2)ご参加の人数
3)代表の方のご連絡先(お電話番号)
4)代表の方のメールアドレス
以上を明記の上、上記のアドレスに10月29日20:00以降に
お申し込みください。
折り返し、ご参加ご案内のメールをお送りさせていただきます。
(携帯アドレスにてお申し込みでメール受信制限をされている方は、
ドメインshurei-s.comからの受信許可の設定をお願いいたします。)

お問い合わせも上記アドレスにて随時お受けしております。


*****



ご参加、お待ちしております♪




薛珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)

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| comments(8) | trackbacks(0) | 22:40 | category: 「英語で読むミュージカル」講座 |
# 「英語で読むミュージカル」の「根っこ」その2。
「その1」に続き、その2。

「【海外】を背景幕に【日本】を見る」というテーマを最初から決めてあった
わけではなくとも、何しろ「英語」と「国際感覚」を武器に演劇をやってきた
ため、18年半のあいだ結構な数の仕事をしてきたうち、「外国」が何らかの形で
関わらない舞台をわたしは一度もやったことがない。(た、多分‥‥)
作家が外国人か、はたまた演出家が外国人か。

外国語戯曲の翻訳家として、或いは外国人演出家の通訳やアシスタントとして、
海外の面白い作品や面白い演劇人を日本演劇界にもたらすお手伝い、というのが
わたしが18年半の間やってきた主な仕事、ということになる。

しかしもう明治でも戦後でもないので、海外から来るのは「お雇い外国人」でも
なければ「GHQ」でもないし、「舶来品」への盲目的な信仰はもうとっくの昔に
廃れていると思うのだが、でも、どうだろう。

全体的に、こう、うっすらとではあるが「海外作品の方が面白い」「外国人
演出家の方が面白い」という空気が、流れてはいないだろうか。

殊にミュージカルにおいては、全体を総括した場合、やはり海外作品が質量共に
凌駕している印象だ。
(もちろん国産作品にも名作は多々あるが、ここで論じているのは全体像だ)

わたしのブログをご覧になっている方であれば(↑のタイトルで書かれた記事で
あれば尚のこと)「海外ミュージカル大好き」な方、「外国人演出家が手掛けた
舞台は面白いことが多かった」という方が多いと思う。

わたしが仕事で関わってきた日本の演劇制作者は、観客以上にそう思っている。
定期的に海外に出て次のヒット作を探しては天文学的なお金を出して買って
きたり、日本人演出家より高額の費用がかかる外国の演出家を招いているのは
彼らだからだ。

しかし、海外作品と外国人演出家、そして日本演劇界と日本の観客。その間に
ずっと立ってきたわたしの心の中で、ある一つの叫びがどんどん大きく
育ちつつある。

「【言葉の壁】は絶対に越えられない」

この、一見絶望的な一言。

ストレートプレイ作品はいいのだ。
戯曲だけなら、そこにあるのは言葉だけ。
そこに込められた作者の「伝えたいこと」を、現代日本に生きる観客に最大限
伝わるよう、必要なだけ「解体」ができる。解体して、再構築できる。
(それだって、実際やるのはとてつもなく大変なことで、全ての舞台が
それに成功しているわけでは全っ然ないと思うが)

しかし、ミュージカルとなるとそうはいかない。

100%断言するが、ミュージカルの面白さは、他言語に訳した瞬間に
損なわれている。

どんなミュージカルも、原語が絶対に一番面白い。

なぜならば、遠い日本で何年にもわたって愛されるに至るような作品は
作者たちが何年もかけて編み上げた作品だからだ。
状況、言葉、気持ち、音楽、音色、響き、声。
それが全て一丸となり、一つのエネルギー、命となって、時にもがき、
時に光を探し、そして時に飛翔するべく。

「日本語訳でもそうなっている」
そう主張する方もあるかも知れない。

しかし、原語における「ある一音を歌うのはこの言葉のこの音でなくては
ならない」の「なくてはならなさ」は訳したものの比ではない。
多くのミュージカルが曲と歌詞を一緒に、じっくりと時間をかけて
練り上げているのだ。
「どうしてもこの音とこの言葉でなくてはならない」のレベルまで。

例えば、みんなが大好きな『Wicked』の『Defying Gravity』。

最後に歌われる言葉は「bring me down」の「down」である。
この大ナンバーが辿る道のりを最初から共に辿っていると、最後が
「down」であり、そこでエルファバが飛翔することに、聴く者は涙を
禁じ得ない。

なぜ「down」で飛ぶのか、それが感動的なのか。
一瞬不思議に思われる、この組み合わせ。

ここでエルファバは「何人たりともわたしを引きずり下ろせはしない」と
歌っている。
「bring me down」は「引きずり下ろす」の部分、「down」は「下」だが
ここでは「下ろす」に該当すると言っていい。

気をつけて聴いていただければ、音楽的には「me」でぐっと引っ張り
上げられ、「down」で解き放たれているように感じると思う。
しかし「down」は本来「下」だし、音としても重く、力がこもる音だ。
では何故「down」で解き放たれるのか。

それは、エルファバが「down」で蹴っているからだ。
彼女の飛翔を止めようとするもの、地べたに繋ぎ止めようとするもの、
その全てを蹴って、飛び立つからだ。

「でも、じゃあ【me】の方が音が高いのは何故?」と思ってしまうが、
そこにある全てより「わたし」を高いところに置く、その矜持が
エルファバに翼を与えているとわたしは考える。

最後の「bring me down」のフレーズをエルファバは繰り返すが、それは
「わたしを引きずり下ろすことは誰にも出来ない
 引きずり下ろすなんて!」
という、強調を目的とした部分的な繰り返しとして書かれていると思うが、
別の読み方をすれば、「bring me down」は「命令形」として独立も
できる。
「わたしを引きずり下ろすことは誰にも出来ない
 引きずり下ろしてみろ!」
という解釈も成り立つわけだ。

いずれにしろ、エルファバは目の前に立ちはだかる障害の全てを自らの
力と意志ではね除けている。

タイトルだって「defying gravity」。「重力に逆らう」と直訳できる。
「defy」という言葉だけだと「反抗」「反逆」「挑む」といった意味に
なる。

日本でつけられた「自由を求めて」というタイトルも、「bring me down」に
該当する箇所につけられた「いま」「やれるわ」という歌詞も、「上」しか
見ていないように、わたしには思われる。

「下」に繋げ止めようとする大きな力に、エルファバは逆らって、
それどころか蹴って弾みをつけて、飛翔するのだ。
この歌を名曲足らしめているのは、束縛を断ち切る時にしか生まれない、
覚悟と苦悩と高揚感とパワーだとわたしは思う。
あのアホみたいに歌がうまい Idina Menzel ですら、「me」を歌う時は
限界と戦っていっぱいいっぱいではないか。
ここより高いところにある自分を獲得する、苦しみ。
それを自らの手に掴んで一気に飛び立つ「down」で、エルファバの声は
どこまでもどこまでも、広がっていくのだ。

もっと言えば、「発声」という技術の基本の一つに「地面に向かって
押すようにイメージする」というのがある。
上に引っ張る力と下に押す力、その二つの間に「歌」は生まれるのだ。
本当に全てが、想いと音楽が相乗して高みへと飛翔するように、あの歌は
書かれている、というわけだ。

『Defying Gravity』だけではない。

名作といわれるミュージカルには、こういう宝がざっくざくと物凄い数、
日本語歌詞の底に埋もれている。

断言しよう。
皆さまが大好きな海外ミュージカルは、原語の方が軽く100倍は感動的だ。

念のため断っておくが、わたしは人様の翻訳に難癖を付けているわけではない。
ミュージカルは翻訳したら本来の魅力が損なわれる、という抗いようのない
事実を言っているまでだ。
全てのメロディが特定の言葉を歌うために書かれているのだから、言葉を
変えた時点で命を失うのは当然なのだ、本当は。

第一、日本語という言語は音数が多く、ミュージカルの歌詞には物理的に
英語の1/3とか1/4しか入らないのだから、はじめから大きなハンデが
そこにあるのは当然で、仕方のないことなのだ。

「そんなこと言っても、わたしは英語がわからないんだからしょうがない
じゃない」と言う方もいるかも知れない。
「だからコツコツと勉強して原語で読んでいるんじゃないですか」と
言う方もいるかも知れない。
「そうかも知れないけど、翻訳した歌詞でも充分感動的だから、わたしは
それでいい」という方も。

実際「そんなことを言っていたらせっかくの素晴らしいミュージカルを日本で
楽しむ機会がなくなるじゃないか」という動かぬ事実もそこにはあるので、
「翻訳ミュージカル」というもの自体に異論を唱えるつもりは毛頭ない。

ただ、翻訳された舞台にふれただけではわからない、大好きな作品たちの
底力を、「ミュージカル」という表現手段がまだまだ隠し持つあらゆる可能性を
日本の演劇人、演劇を愛するシアターゴアーの皆さまにも知ってほしいと、
わたしは切に願うのだ。

物語も言葉も音楽も声も、全てが力を与え合って飛翔する歓びを、ミュージカル
役者の皆さんにももっともっと知ってほしいし。

ミュージカルって、本当はもっともっと凄いものなのだと、わたしは思っている。

それを徹底的に知ることによって、日本のミュージカルはもっともっと面白く
なり得るともわたしは信じているし、日本の物語や日本語の言葉が、「胸に迫る
音楽」という翼を生やす機会も、もっともっと増えるはずだとも信じている。

最初に書いたように、言葉の壁は越えられない。
「越えられない」は言いすぎでも、たやすく越えられるものではないし
なくすべきものでもないと、わたしは思っている。

全ての壁を取り払ったところで、そこにあったはずの「歴史」に裏打ちされた
「文化」が失われるだけだと思うからだ。
言葉の壁には窓や扉を作って、わたしたちはそれぞれ向こう側へいつでも
出かけられる「鍵」があればいい。
窓や扉は「視野」であり、鍵は「知識」ではないだろうか。

「日本語の壁」がわたしたちをぐるりと囲んでそびえ立つ強固なものなので
あれば、その中に豊かで風通しがよく、視野が広く寛容、かつ好奇心いっぱいの
王国を築けばいい。

壁をしっかりと認識することで、その向こうも、その中の自分たちの文化も、
把握できるし豊かにすることもできる。

わたしはそう思う。

そして、いつか。

世界のどことも違う、日本からしか発せられない声。
エキゾチシズムとかそういったこれまでの衣は全て脱ぎ捨て、
「日本の感性だからこそ言葉にし、歌に歌わせることができた」と世界中の誰もが
認めるような、数々の壁をものともせず世界へ満ちていくような、普遍的で豊かな
ミュージカルが、生まれたら。

もしそんなミュージカルが生まれたら、どんなブロードウェイ・ミュージカルより
ウェストエンド・ミュージカルよりもウィーン・ミュージカルよりも、感動的な
作品になるかもしれないじゃないか!

‥‥まぁそれをゴールにすべきかどうかはわたしにも正直まだわからないが、
とにかく日本の劇場は、その他の文化から生まれた作品をただ愛でるだけでなく
ただ崇めるだけでなく、より深く知ることによっても、もっともっと面白い場所に
なることができる。それだけは間違いない。

そのためにも、わたしは自分にも出来ることとして「英語で読むミュージカル」
というテーマで講演を開催している
というわけだ。

もちろん自分としては、ここにとどまることなく、日本の劇場がもっともっと
面白い場所になるためにわたしにもできることを、一つ一つ形にしていこうと
思っている。

「芝居ほど面白いものはない!」という興奮の火の手が色々なところで
あがるためには、どんな小さな火の粉にもチャンスはあるはずだ。
そう信じている。



薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)

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# 「英語で読むミュージカル」の「根っこ」その1。
5年ほど前。

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの次期芸術監督の演出家アシスタントを
務めた時、ある出演者に「どうして珠麗さんは海外に行かないんですか」と
聞かれたことがある。

彼は初舞台を演劇の都で踏んだという経歴の持ち主であり、かつ当時は語学留学から
帰国した直後でもあったので(バレバレですね、スミマセン)海外への情熱が
身体を突き破って出てきそうな状態。

芝居と英語を仕事にし、海外演劇人との交流もある(だろうと人には思われる)
わたしに「海外生活の経験がない」「【海外進出】という願望もない」と知ると
前のめりに不思議がって、しきりに「なぜ」と、なかなか納得してもらえなかった。

同様の質問をされることは昔から非常に多い。

演劇人の海外研修制度が盛んになり始めた頃などは特に、海外演劇とこれといった
縁がないような人でも、どんどんロンドンへ旅立って行った。
わたしは当時英国人演劇人とゆかりが深かったtptにいたので、そういった
人たちのための推薦状をアレンジしてあげるのが日常の業務の一部と化していた。

わたしの場合、当然ながら言葉の壁はないわけで、「だったら何故行かないの?」と
その壁をよじ登ってでも海外研修にチャレンジする人にしてみれば、不思議に
思われるのだろう。当然である。

「こちらが行かなくても、わたしが出会いたい演劇人が向こうから来てくれるんです」
と、わたしはいつもそう答えるようにしていた。

演劇好きな大学生だった頃わたしには「神にも等しいカリスマ」が4人いたが、
のちにその全員と仕事をするようになったわたしがこう言うと、皆さんそれ以上は
追求してこなくなる。

でも、この時の彼は違った。追求をやめなかった。

自分でも「思えば、海外に出ることに全く興味がないのは何故だろう」と不思議に
なり、自分の中を探しながら彼にした説明は、自分でも納得できるものでは
なかったし、彼も1ミリも説得されず、結局「俺なら絶対行くけどなぁ」という
内容の彼の言葉でその話題は終わったのだった。

以来、何と5年間。
ずーっと考え続けてきた。

間には、何と「こちらに来て仕事をしないか」と海外で働くお誘いまで、実は
いただいたのだ。
それはお断りしたのだが、お断りするにも「これ」という答えがみつからないまま。

震災があったり、父が急死したりと、気持ちの面で「日本を離れられない」という
理由も新たにできたが、そうなるとますます、外的要因でない、自分の芯にある
理由が知りたくなる。

そうして、今年の夏やっと、わかったのだ。

ロンドンやニューヨークの観客に、わたしは興味がないのである。
そりゃあ、ブロードウェイの舞台を観に行くと、観客がノリノリで反応がいい。
彼らを相手に舞台を創るのはきっとめちゃくちゃ楽しいのだろう。

だが、それよりもっとずっと根本的な意味で。
アメリカやイギリスの大衆が何を考えているか、(自分のこととしては)知らないし
(自分のこととしては)興味がない。

語りかけたい人のいないところで、何が芝居だ。

いやもっと言えば、アメリカやイギリスの演劇人たちが表現している数々の
主題も、わたしには「自分のこととして」感じられない、ということになる。

伝えたい声と繋がれないところで、何が芝居だ。

生まれた瞬間に国と文化と言語の坩堝の中に放り込まれて、その坩堝の中で
泳ぐように生きてきて。
物理的には日本で生まれ日本で育ち日本で生きてきたが、世界の全てを、
あらゆる文化を、徹頭徹尾「外から」眺めてきた気がする。

もちろん、日本も。

そのまなざしで、わたしは日本を、日本人を、愛しているのだなぁ。と感じる。

日本にしかない美徳。
日本にしかない窮屈。
日本にしかない頑迷。
日本にしかない自由。
日本にしかない豊穣。
日本にしかない倒錯。
日本にしかない低俗。

今ここで思いつかないたくさんを含めた、ありとあらゆる。

日本にしかないしょーもなさを、わたしは愛する。

非人間的にデフォルメされた人物がバカバカしい設定で活躍する連ドラとか。
「考えることを知らなそうなロリ顔」と「巨乳」で人気のテレビタレントとか。
「この人のことを軽んじることが今日の流行り」という約束事の元に盛り上がる
バラエティ番組とか。
眉をひそめたくなる「不謹慎な」言動をした人間を、被害を被ってさえいない
人たちが寄ってたかって非難して吊るし上げる風潮とか。
(あまり理解されていないと思うが、以上はかーなーり日本ならではな傾向である)

例えばこういったしょーもない大衆文化(別にテレビやマスコミ等を悪く言いたい
わけではない、あくまで例だ)に密かに表出する「日本にしかない苦しみ」を、
わたしは愛する。

多分わたしは、日本人がもっと幸せになるために何かがしたい、のだと思う。

当然そこには「演劇には世界を変えるチカラがある」という大前提がある。
(わたし個人に何ができるか何かできるのかはもちろん別である)

もちろん「西洋化」「欧米化」するべきだ、というのではない、それはもう、
これっぽっちもない。(あの人たちはあの人たちで大変な問題が山積みだ)

ただ「日本以外の世界」という背景幕の前に「日本」が立つのを見た時に、初めて
広がる「視野」、生まれる「気づき」があると、絶対的に信じている。

その手伝いを、わたしはしたい。

だからわたしは海外には渡らない、興味もない。

「英語で読むミュージカル」というテーマでお勉強会を開催する根っこも、
実はそこにある。



‥‥と、さすがにこれは飛躍しすぎたか。


この続きは、後日。




薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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# 薛珠麗の「英語で読むミュージカル」第2弾(終了しました)
このたび、今年3月にも開催しましたお勉強会の、第2弾を開催することに
なりました!

(追記:募集は締め切りました)



**********



薛珠麗の「英語で読むミュージカル」



これまでにストレートプレイもミュージカルも手掛けてきた
戯曲翻訳家が、海外ミュージカルの英語歌詞を「英語戯曲」として読み解きます。

英語で書かれた歌詞を日本語の歌詞へと翻訳すると、その情報量は、何と
三分の一ほどになってしまいます。ミュージカルの名作の英語歌詞には、
日本語訳に触れただけでは知り得ない様々な言葉が隠されているのです。

無類のミュージカル好きでもある講師が、ファンとしての思い入れはそのままに、
英語x演劇のプロとしての経験と知識を総動員!
名作ミュージカルを原語で読み解いて、大好きな作品と、更に深く豊かな
出会いをしてみませんか?


第1回『レ・ミゼラブル』の時の記事はこちらになります。

そして‥‥



第2回の今回。『オペラ座の怪人』を取り上げます!


【日時】:2012年10月28日(日)13時〜16時

【場所】:会議室プラザ
     東京都中央区八重洲1−7−4矢満登ビル
     (1階はCafeルノアール ニュー八重洲北口店)
     電話:03-3274-7788
     (こちらへの勉強会内容についてのお問い合わせはご遠慮ください)

【参加費】:2000円
      当日、受け付けでお支払いください。

【講師プロフィール】:

薛 珠麗(せつ しゅれい)
国際基督教大学を卒業後、数多くの外国人演出家やアーティストの
通訳/演出補を務めた後、戯曲翻訳や演出、訳詞や作詞、劇作も手掛ける。
主な翻訳作品に、tpt『エンジェルス・イン・アメリカ』『ブルールーム』、
パルコ劇場『ハーパー・リーガン』、日生劇場『キャバレー』他。
演出作品にtpt『蜘蛛女のキス』、劇作に世田谷パブリック『1945』など。
『バーム・イン・ギリヤド』で第1回小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞。
2012年は、帝国劇場7月公演『ルドルフ』の演出家アシスタントを務めた。


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薛珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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