___evidence*___薛珠麗's BLOG

薛 珠麗(せつ しゅれい)のブログ
<< December 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 『若冲展』攻略メモ | main | 薛 珠麗 今後の活動(ざっくり) >>
# アメリカ大統領 広島訪問に思う。
わたしが芝居を始めたきっかけは、広島だった。
具体的には、修学旅行で訪れた原爆資料館での衝撃と、
そこで出会った一人の被爆者の女性の講演だ。
その時のことは、このブログの「芝居とのなれそめ」にも書いている。
http://shurei-s.jugem.jp/?eid=17

広島での体験をこのブログに書いた時には記さなかったが、
強く記憶に残ったのは、クラスメートや教師たちが広島への原爆投下に
対して持っていた、強烈な罪悪感だ。
わたしはインターナショナル・スクールに通っていたので、
クラスメートの大多数は白人だったし、引率の先生も白人。
一番多かったのはアメリカ人で、二番目がイギリス人、引率の先生も
日本人を妻に持つイギリス人だったけれど、戦争の時に生まれてもいない、
それどころか、クラスメートたちに至っては親の代までさかのぼっても
戦争の記憶などない彼らが、原爆投下に対して何故、罪悪感を持つのか。
わたしはとても不思議だった。そしてますます不思議なことに、
アメリカとイギリス以外の国籍のクラスメートたちも同じような罪悪感を
持っていたのだった。

わたしたちの代の前の年まで、広島への修学旅行には「原爆病院訪問」という
行程も組まれていたのだが、わたしたちの年から取りやめになった。
理由ははっきり覚えていないが「被爆者の高齢化」だったと思う。

引率の先生が、原爆病院を訪れることができなくなったわたしたちに
自分が訪れたの時の体験を話してくれたのだが、その時にこんなことを言った。

「生まれて初めて、白人であることを恥ずかしいと思った」

とっさに感じたのは「あんたたちは黄色人種のわたしたちや、アフリカ系の彼らと
違って、世界のどこに行っても差別はされないからね!」という漠然とした憤りだった。

が、時と共に、そしてその後に広島を実際に訪れてみて、発言の本質がそこではない
ことに、わたしは気がついた。

白人であることを恥じるほどに、
戦争の当事者でもないのにその行いをわが身の恥と感じるほどに、
【加害者】側から見た原爆は、恐ろしいものなのだ。

そしてまた、たとえ同じ戦況であったとしても、原子爆弾を自分たちと同じ
白人の住む国に投下することは決してなかった、と彼らは知っている。
親ですら戦争を知らない子供たちも皆、知っている。

人間に対して使ってはならない兵器であると、彼らが理解している証拠だ。

取り返しのつかない殺戮や残虐を、【加害者】はなかなか正視することができない。

しかし実際に広島を訪れて、15の民族の血が流れていたわたしたちのクラスは
全員、【加害者】【被害者】の目線に縛られなくなったと思う。
圧倒的な悲惨を(ガラスケースと数十年という年月を隔てて)直視した時、
【加害者】【被害者】という垣根は意味を持たなくなり、
ただただ「繰り返してはならない」という祈りだけが残ったのだと思う。

殺戮や残虐が取り返しのつかないものであればあるほど【加害者】は正視できないが、
それはしでかした事の重大さを認識している証拠だ。「正視したくない」という
心の負荷を乗り越えて、歴史に学んで、これから先どう生きるかに活かせば
良いのだと思う。

最も愚かなのは、【加害者】として引き起こした取り返しのつかない殺戮や残虐に
目をつぶりたいあまりに「なかったことにする」こと。

71年の時を経てさえ、アメリカ大統領が白人であったならば、広島を訪れて
原爆資料館を訪れ、慰霊碑に献花し、スピーチをし、被爆者と言葉やハグを交わす
ことなど、到底できなかっただろう。

第二次世界大戦において大いに被害者であり、かつ大いに加害者であった日本は、
双方の眼差しのバランスをとってしっかりと歴史に学び、より良き未来を創ることが
できるはずの国だ。

【被害者】でいることは簡単だ。【加害者】を責めていればいい。
思考を停止していてもできることだ。

過去の戦争の悲惨を学ぶことは、【被害者】【加害者】を超えるチャンスになる。

オバマ大統領から原爆に対する謝罪がないこと、
原爆資料館の滞在時間が10分間だったこと、
それらに憤ることは頑迷だとわたしは思う。
そんな頑迷は乗り越えて、より良き未来を創造するために、できることをしたい。



薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
web拍手
| comments(0) | - | 17:22 | category: |
コメント
コメントする









Profile
Comments
Mobile
qrcode
今宵の月は‥‥
Search this site
Sponsored Links