___evidence*___薛珠麗's BLOG

薛 珠麗(せつ しゅれい)のブログ
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# MORE LIFE
久しぶりの更新です。

震災発生後、心に生まれた数々の言葉、そして言葉にならない思いの
代わりに、このブログでも再三登場してきたわたしの最愛の戯曲
『エンジェルス・イン・アメリカ』から、大好きな長台詞をそのまま
掲載させていただきます。権利の問題等、あるだろうとは思うのですが、
今だけお見逃しいただければ嬉しいです。

『エンジェルス・イン・アメリカ』は、わたしが翻訳/上演台本作り/
演出補として関わった2004年と2007年のtpt公演では
バッサリとカットされていましたが、チェルノブイリ原発事故をその
モティーフの一つにしています。オゾン層の破壊、サンフランシスコ大地震、
チェルノブイリ原発事故、原因不明の疫病=エイズの爆発的蔓延。。と
いったカタストロフィに対する「地球はもはや人が住めない世界に
なりつつあるのではないか」という危機感と、主人公たちに起こる人生の
危機を重ねて、7時間半もの時間をかけて七転八倒して苦しみ、戦い、
逃げ、向き合い、血を流し、そして歩き出す戯曲です。

ここに引用するのは、主人公の一人ハーパーが、気も狂わんばかりの、
死の物狂いの人生の危機を自ら向き合って乗り越え始めた、その旅立ちの
際に、観客に語りかける長台詞です。

**********

サンフランシスコへの夜間飛行。月を追いかけてアメリカを横断。
ああ!飛行機なんて何年ぶり!

高度三万五千フィートに達したら、そこは対流圏と成層圏のはざま。
穏やかな空気の大きな帯。わたしがオゾンにいちばん接近するところ。

そこへ行く夢を見たわ。飛行機は、安全な空気を離れて、最果ての殻まで
辿り着く。オゾンに。それはぼろぼろに引き裂かれ、まるでガーゼのように
擦り切れて、とっても怖かった・・・。

でもそこで、わたしにしか見えないものを見たの。
わたしにはそういうものを見るすごい力があるの。

いくつもの魂が、遥か下の地上から昇ってくるの。死んだ人たちの魂よ。
飢餓や戦争、疫病で命を奪われた人の魂が、浮き上がって来るの、
スカイダイビングの逆。手足を広げて、旋回したりくるくる回りながら。

そしてこの世を去った人々の魂は手をつないで、足首をしっかり掴みあって、
蜘蛛の巣を作ったの、魂でできた大きな網、その魂は酸素原子三つからなる
分子、オゾンの素。それを最果ての殻が吸い込んで、綻びを直していく。

永遠に消えたままのものなんてない。
この世界には、苦しみに満ちた前進っていうものがあるの。
後ろに置いて来たものを追い求めながら、先に向かって夢を見る。

少なくとも、わたしはそう思う。

**********


そして、最後にもう一つ。


主人公のもう1人、やはり生と死の淵を半狂乱で駆け抜けた末に、
生を見出すことになるプライアー。彼は何と天国まで行って、天使や神に
「生きると決めたんだから」と啖呵を切って帰ってきちゃうのですが(笑)
そんな彼の、7時間半をしめくくる、ホントに最後の台詞です。


**********


あなたたちは美しい。一人一人、みんな。
僕からあなたたちに祝福を。
もっと、いのちを。
大いなる仕事が始まります。


**********


「もっと、いのちを」原文では「more life」です。
様々な祈りと決意のこもった、言葉です。

「大いなる仕事」。
この言葉を、今までは個人レベルでしか捉えたことがありませんでしたが、
いま改めて見ると、非常に重要な道標をこの戯曲は与えてくれていたんだと、
実感します。

命溢れる方へ、進みましょう。
大いなる仕事は、確かに始まったのです。


薛 珠麗(せつ しゅれい)
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| comments(4) | trackbacks(0) | 13:46 | category: LIFE |
コメント
ああ、今すごく『エンジェルス〜』が見たい! 映像でなくライブで! 叶うことなら珠麗ちゃんの演出で! その日を楽しみに、前に進みます。
| 山上裕子 | 2011/03/25 9:30 AM |

山上さま

わたしはこの間NYで第2部を観て来たばっかりなのですが。。
普通のお客が泣かないであろう場面で大泣きしながらも、ちゃっかり
「そうか、あの台詞はこういう解釈で訳せばもっとすんなり行けた
わけね。。」とかアタマの中にメモっておりました(笑)
台本ならすぐに出せますぜ!あはは。。(^^;)

わたしは、あの時の『エンジェル』以上の出会いをこれからの
人生の楽しみにしています。作品は『エンジェル』でもいいし
勿論他の作品でも、自分が書いた作品でも大歓迎です!

勇気の出るコメント、ありがとうございましたっ!
| 薛 珠麗 | 2011/03/25 12:32 PM |

「アリスのままで」の中で、引用されていました。
| しのたん | 2015/07/19 4:35 PM |

しのたんさま

はい!その関連で、『クロワッサン』という女性誌に
『アリスのままで』のレビューを執筆しました。
http://shurei-s.jugem.jp/?eid=356

素敵な映画でしたよね!
この台詞も、非常に感動的な使い方をされていました。

こちらが『クロワッサン』掲載号の詳細です。
http://magazinehouseshop.jp/SHOP/CR903.html
よろしければ!

コメントありがとうございました。
| 薛 珠麗 | 2015/07/19 6:20 PM |

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