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薛 珠麗(せつ しゅれい)のブログ
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# 薛 珠麗ワークショップ新名称 & 情報発信ブログ開設のお知らせ
こちらのブログを情報発信源に、今年は3月から9月までの半年ほどの間に、
5つの戯曲をテキストとした8回のワークショップを開催してきました。

2つ、お知らせがあります。

このたび、単に「薛 珠麗主催によるワークショップ」だった
わたしのワークショップに、新しく名前をつけました。

新しい名称は【ESCAPADE Workshops】といいます。

【escapade】というのは
「向こう見ずな冒険、常軌を逸脱した行動」というような意味の、
わくわくと危うさが匂う英単語です。

【エスカペイド】と読みます。

ESCAPADE Workshop の名前で開催する第1回として、今までとは
かなり毛色の違うワークショップを企画しました。

ESCAPADE Workshops 情報発信専用のブログを開設しましたので、
よろしければそちらをご覧ください。
ECAPADE Workshops News

ツイッターアカウントも開設しました。よろしければ。
薛 珠麗 official ツイッターアカウント

ESCAPADE Workshops はリーディング、発表/公演へと
発展させるべく鋭意悪巧み中です。

これからも何卒、よろしくお願いいたします。


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# 『橋からの眺め』『ガラスの動物園』の男たち
おかげさまで、昨日より参加申し込みの受付を開始した
アメリカ名作戯曲ワークショップ(『橋からの眺め』『ガラスの動物園』)
たくさんのお申し込みをいただいています。

‥‥というより、『ガラスの動物園』の女性に限っていえば、
定員の3倍を超えるお申し込みがありました。
追加開催が出来ないかと、現在検討中です。

わたしは『橋からの眺め』は男性にとって非常に魅力的な戯曲だと考えています。
先日ナショナル・シアター・ライヴで上映されたイヴォ・ヴァン・ホーヴェ
演出版を見てそれを実感された方も多いのではないかと思います。

主人公エディは、家族を守るために港で荷揚げの仕事をする日々を
淡々と生きる、一見ごく単純な男ですが、自分の心に起きていることが
どうしても認められずに悶え苦しみます。彼は愛してはならない相手、
娘のように育てている姪のキャサリンを、愛してしまったのです。
その果てに、とうとう、彼の暮らす社会で最も憎まれる行動、決して
赦されない行動に、出てしまうのです。

エディが相談を持ちかける弁護士アルフィエーリは、全てを目の当たりに
しつつ、崩壊を食い止められなかったという、後悔に苛まれます。
そしてエディを襲った悲劇を、時代や場所を超越した眼差しで見つめ、
観客に語りかけます。

ニューヨークに住むエディ一家を頼ってイタリアからやってくる親戚の
ロドルフォは、エディの悲劇の発端となる人物です。
明るくて器用で賑やかでおしゃべりで夢見がちで、一見軽佻浮薄な青年に
見えますが、現実や人の心を真っ直ぐに見つめる誠実さと抜け目なさと、
そして夢を夢に終わらせない底力のようなものを持った、
男気のある人物だと思います。

ロドルフォの兄マルコは更に男気がある人物です。弟のように余計なことを
喋らず、国に残してきた病気の子供と働き者の妻のことを、
ひたすらにひたすらに、想っています。大切な人が脅かされた時には、
命さえも厭わない__彼の中に流れているのは、紛れもなくイタリアの、
それも、シチリアの血です。

わたしは何故だか業の深い戯曲に多く携わってきた気がしますが、
「一番業の深い戯曲はどれだったか」と人に訊ねられた時には、
決まって『橋からの眺め』と答えています。
17年も前になりますが、tpt(シアタープロジェクト・東京)が
わたしの師の一人であるロバート・アラン・アッカーマン演出で上演した
際、わたしは戯曲の翻訳と演出家の通訳兼助手を務めました。
エディ役の堤真一さんは当時、34歳でした。キャサリンの父親のような
年齢の俳優が演じるエディにも苦悩がありますが、キャサリンと色々な意味で
お似合いなエディは、更に切実に苦しかった記憶があります。

しかし『橋からの眺め』の業の深さは何もエディだけのものではありません。
登場人物の誰もが、大切な人を大切に、大切なものを大切に、しただけ
なのに、彼らを飲み込む運命は全員にとって取り返しのつかない悲劇です。
そしてその原動力となっているのは、必死に生きている男たちなのです。

『ガラスの動物園』も、繊細なイメージを持たれることの多い戯曲かも
しれませんが、やはり男性にとって魅力的な戯曲ではないかと思います。

作者テネシー・ウィリアムズの自伝的な物語とされているこの戯曲。
描かれているのは母アマンダ、娘ローラ、その弟トムの3人家族ですが、
劇の語り手でもある弟トムはテネシー・ウィリアムズそのものと
言われています。詩人になりたいという創作への欲求と相容れない、
母親との確執。そしてか弱き姉ローラへの愛。
劇のラストで全てを振り切って飛び出したトムが、流離の日々の果てに、
深い哀惜の念を込めて語り始める物語が、この『ガラスの動物園』
なのです。テネシー・ウィリアムズは劇中でこの劇を【追憶の劇】と
呼んでいます。ローラは20代前半、トムはその弟ですが、戯曲で描かれる
ラストよりずっと時を経た時間軸から過去を振り返っている、という設定である
ため、ローラよりずっと年上の俳優をキャスティングすることも多い戯曲です。

『ガラスの動物園』には唯一家族でない人物がいます。
ローラのハイスクール時代の憧れの人で、現在ではトムの同僚である、
ジムという青年。一人として現実の世界に適応できる人間のいない
この一家を訪れる彼は、高校時代、文武両道に秀でたヒーローでした。
一見、日本の少女漫画にしか出てこないような絵に描いたような二枚目キャラ
ですが、果たしてそうでしょうか?
彼が高校時代に発揮した輝きは、時代の激変を前に、自らの人生の節目を
前に、今や風前の灯です。
彼もまた、「ガラスの動物園」の檻の中、脆く壊れやすい、ガラスの動物
なのだと思います。しかしそれに抗い、意欲的に人生を切り開こうとしている
ジムは、とても魅力的な人物だと思います。

『橋からの眺め』と『ガラスの動物園』という2本の名作戯曲に登場する、
この魅力的な男たちに挑戦する俳優からのお申し込みを、心よりお待ちしています!

詳細はこちらからどうぞ! → リンク


薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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# 2016夏 アメリカ名作戯曲ワークショップのお知らせ
この夏、

『橋からの眺め』
『ガラスの動物園』

をテキストに、ワークショップを開催します


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2016年の春、3本の戯曲をテキストに一連のワークショップを開催しました。→リンク

テキストとして使用したのは:
デヴィッド・ヘア作『スカイライト』
アウグスト・ストリンドベリ作『令嬢ジュリー』
パトリック・マーバー作『クローサー』
という3本の戯曲です。

当初は戯曲1本に1つのワークショップでしたが、
『令嬢ジュリー』『クローサー』は特に好評で追加開催をしたため
(『クローサー』の方はこれから、来週です)、延べ約70人の俳優及び
その他の演劇人が参加したことになります。

春の一連のワークショップのテーマは、募集の際に書いたブログにあるように、
「一見過剰と思われるような【翻訳劇の言葉】も、【これしかない言葉】として
発せられるほどに自分のものにできれば、より豊かな世界が見えてくるのではないか」
というものでした。

では、春のワークショップで【翻訳劇の言葉】と格闘することによって、
何が見えてきたのか。

浮かび上がってきたのは「とてつもなく大きな物語を生きる」ということです。
名作と呼ばれる戯曲には、そうでない戯曲にはない「物語の大きさ」が備わっています。
100年の時を、そして異なる言語という壁を、乗り越えて愛される戯曲たちには、
やはりそれだけの物語が宿っているのです。
春に取り上げた3本とも、人物たちは人として生きていて最も恐ろしいものと向き合い、
目の前にいる相手と戦って戦って戦い抜きます。

大きな物語は、容易に時代を超える大きな葛藤がその根底にあります。
それを説得力を持って相手に渡し、観る者に届けるために、
俳優たちはそれまで生きる中で培ってきたあらゆるものを総動員しなければなりません。

そのような演劇体験は、俳優としての力強い【芯】を培う機会になり得ると思います。
例えば、そこまでスケールの大きな物語に触れる機会が少ない、いわゆる【小劇場】と
呼ばれるフィールドで活動している俳優や、
例えば、ミュージカルの分野で活動していて、大きな物語の中で生きる機会はあっても
その物語世界の真ん中に立って全てを背負うという機会がなかなかない俳優たちに
とっては、特にそうかもしれません。

春のワークショップで得た経験を元に、このたび夏にもワークショップを開催する
ことにしました。

今回のテキストは、20世紀アメリカ演劇を代表すると言っても過言ではない、
アーサー・ミラー作『橋からの眺め』
テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』
の2本です。
いずれも、神話的とすら言える普遍的な人間の業を描き、世界中で繰り返し上演される
名作です。最近では『橋からの眺め』がナショナル・シアター・ライブで鮮烈な印象を
残しましたね。

しかしこの2本は共に、「大きな物語」として人間の普遍的な業を描くと同時に
【特定の時代と場所に特化した家族劇】という側面も持っています。

今回のワークショップでは、それぞれの時代と場所、そして作者がそれをどう見つめて
いるか__つまりは【世界観】を学ぶことで、2016年の東京にいながらにして、
作家が戯曲に託した「その時代、その場所ならではの生々しい苦悩」を【我が事】に
したい、と考えています。

具体的には、作家がその戯曲の世界観を最も端的に表しているのは【長台詞】と考え、
それに取り組む時間を設けようと、期間を5日間から6日間にしました。

【長台詞】には色々な考え方、分類の仕方がありますが、
1)人物がいわばナレーターとなって物語を俯瞰して語る場合
2)人物が場面の中で他の人物を相手に長い台詞を言う場合
のうち
『橋からの眺め』では主に1に、『ガラスの動物園』では1と2の両方に、
注目する予定です。

演劇の果たすべきことの一つに、
「普遍的な大きな物語と、わたしたちの毎日の暮らし、人生を、繋ぐこと」
があるとわたしは考えています。

作家が演劇に刻みたかった【その時代その場所の苦悩】を捉え、
そこから作家が生みだした【普遍的な人間の葛藤と業】に飛び込み、それを引き受ける。
この夏そんな体験をして、俳優として、演劇人としての基礎体力を、つけてみませんか。

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2016夏 薛 珠麗のアメリカ名作戯曲ワークショップ

戯曲紹介

7月:
『橋からの眺め』
アーサー・ミラー作、1956年ロンドン初演。ニューヨーク、ブルックリンの
イタリア系港湾労働者であるエディは、血の繋がらない姪のキャサリンを過保護に
育てている。そこへ、彼らを頼って、妻の従兄弟たちがイタリアから出稼ぎに
やってくる。うち1人と恋仲になるキャサリン。エディの愛は、育ての親としての
情を逸脱し始める。

8月:
『ガラスの動物園』
1944年シカゴ初演、作者テネシー・ウィリアムズの自伝的作品と言われる。
若い日の夢に浸り続ける母アマンダ、足が悪く内気な姉ローラ、そして詩人を
夢見つつも、家計を支えることに神経をすり減らす弟トム。危うい家族関係は、
1人の青年の来訪によって決定的に破綻する。

講師紹介

薛 珠麗(せつ しゅれい)

生まれも育ちも横浜市。国際基督教大学卒業の翌日、tptに参加。
海外演出家のアシスタント/演出補、戯曲翻訳、演出を手がけた後、
独立。演出作品にtpt『蜘蛛女のキス』、ギィ・フォワシィ・
シアター『ストレス解消センター行き/母からの手紙』、
音楽実験室 新世界『楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき』、
PLAY/GROUND Creation『ブルールーム』。翻訳作品に
tpt『エンジェルス・イン・アメリカ』『橋からの眺め』
『ブルールーム』、パルコ劇場『ハーパー・リーガン』、
帝国劇場『レディ・ベス』など多数。
『バーム・イン・ギリヤド』で第1回小田島雄志翻訳戯曲賞受賞。

ワークショップ詳細
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期間

『橋からの眺め』  7月 4日(月)〜 9日(土)
『ガラスの動物園』 8月15日(月)〜20日(土)

(これまでの5日間から1日増えて6日間になっているのでご注意ください)

時間

13:00〜20:00

場所

最寄駅が新宿から電車で10分以内の稽古場になります。

参加形態 及び 定員

いずれのワークショップも
【戯曲読解 及び ディスカッション】と
【実際に場面を演じてみる】が主な内容になります。
参加形態は2つあります。

【アクティング】参加:
6日間の期間中、毎日、実際に場面を演じる機会があります。
全日程NGなしの参加が条件になります。
(遅刻早退に関してはご相談ください)
定員:各ワークショップとも男女6名ずつ、計12名

【ディスカッション】参加:
実際に場面を演じる機会はありませんが、戯曲読解における
ディスカッションを牽引していただけたらと思います。
「全日程は参加できないけど‥‥」
「1日しか参加できないけど戯曲が読んでみたい」
という方など、こちらへどうぞ。
定員:各ワークショップとも12名前後

参加費

【アクティング】 18000円
【ディスカッション】9500円(NGのある方はご相談ください)


募集対象

【アクティング】参加:俳優
【ディスカッション】参加:俳優、スタッフ

お申し込み方法

以下をメールでお送りください。

1)ご希望のワークショップ 及び 参加形態
2)お名前(ふりがな)
3)年齢
4)顔のわかる写真
5)パソコンからのメールが受け取れるメールアドレス
6)お電話番号
7)NGや遅刻早退のご希望が、もしあれば

送り先:
shurei.official@gmail.com
ご質問、ご相談もこちらのアドレスへどうぞ。


お申し込み受付開始の日時

6月11日午前11時より受付を開始します。

定員より多くのお申し込みがあった場合

基本的には先着順とします。
「基本的には」というのはどういうことかというと、
今回は「男女」というカテゴライズにとどまらず、
募集する人数を役ごとに変えたい、と考えているからです。
その点ご了解ください。

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いずれのワークショップも、キャンセルはいつでもお受けしますので、
「予定はまだ決まらないけど興味はある」という場合は、
気軽にご応募いただけたら幸いです。

尚、春と夏のワークショップでテキストを使用した5本の戯曲を集め、
連続リーディング公演を企画中です。
そのためにも、熱い演劇の夏を多くの方と共に過ごせることを、
心より楽しみにしています。


お待ちしております!


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# 薛 珠麗 今後の活動(ざっくり)
3月から始まった薛 珠麗3か月連続ワークショップ
『スカイライト』『令嬢ジュリー』『クローサー』、先日
無事に全ての日程を終えました。

『令嬢ジュリー』は特にご応募が多く、追加の開催をしたので、
3か月連続、4つのワークショップ。

まずはその総括のブログを書こう‥‥と思ったのですが、
勢いに乗って!今後の活動予定をざっくりと、発表してしまおうと
思います。

『クローサー』追加ワークショップ
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今月は早速、『クローサー』ワークショップを追加開催します。
実はこちら、5月に開催したワークショップが定員に達したために
ご参加いただけなかった皆さんで、すでに定員に達しています。
新たな募集の予定はありません。

もし「『クローサー』やりたい!」という方がいらしたら、
メールをください。リクエストが多いようであれば三たびの開催を
企画します。

サマーワークショップ:『橋からの眺め』『ガラスの動物園』
__________________________________

次に、7月4日から9日には、ナショナルシアター・ライブでも
上映された、アーサー・ミラー作『橋からの眺め』のワークショップを
開催します。

8月にはテネシー・ウィリアムズ作『ガラスの動物園』のワークショップを
8月15日から20日に。

この2つ、いずれも募集はまだです。近々こちらのブログで詳細の発表をします。


そして、その後なのですが‥‥


リーディング公演
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上記『スカイライト』『令嬢ジュリー』『スカイライト』『橋からの眺め』
『ガラスの動物園』は全てわたしの翻訳によるテキストです。

『橋からの眺め』は1999年にtpt(シアタープロジェクト・東京)で
ロバート・アラン・アッカーマン演出、堤真一さん主演で上演した際に
使用した翻訳の最新改訂版になりますし、『クローサー』は2005年に
tptでのワークショップ公演としてわたし自身が演出して上演した際の
翻訳の最新改訂版を使用していますが、それ以外は全て新訳です。

5本の戯曲を立て続けに翻訳し、のべ80人以上の俳優が
わたしのディレクションのもと取り組んだので‥‥せっかくですから、
5本の戯曲の、リーディング公演を行おうと思います。
時期、場所、詳細は追って発表します。

以上、詳細が発表できない状況ではありますが、「興味がある!」という方が
もしいらしたら、下記のメールアドレスにご連絡をいただければ、
詳細が決定次第、メールにてご案内をお送りします。

shurei.officialアットマークgmail.com


どうぞよろしくお願いいたします!


薛 珠麗 (せつ しゅれい Shurei Sit)


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# 4月『令嬢ジュリー』ワークショップ追加開催のお知らせ
3月『スカイライト』
4月『令嬢ジュリー』
5月『クローサー』


という3本のワークショップを連続で開催しますとアナウンスしたところ、
予想を大きく上回るお申し込みをいただいています。

この3本のワークショップの詳細はこちらをご覧ください。

4月『令嬢ジュリー』が特にご要望が多く、追加クラスを開催したいと思います。

追加クラス日程:2016年4月28日、29日、5月1日〜3日(計5日間)


日程以外の詳細はその他のワークショップと同様です。
どうぞこちらをご覧ください。

よろしくお願い致します!



薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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# 今月末より『スカイライト』ワークショップです!
3か月連続ワークショップの第1弾『スカイライト』、いよいよ今月末からです!

3か月連続ワークショップの詳細はこちらをどうぞ。


『スカイライト』は3人芝居。
登場人物は30歳の女性キーラと、その元不倫相手のトム50歳と、
トムの息子エドワード18歳。
作品としてはキーラとトムの場面がメインになります。

去年ナショナルシアター・ライヴでご覧になった方も多いですし、
もしかしたら男性陣からは「役がない」と思われているかもしれません。

これまでにわたしのワークショップには40代以上の男性の参加も
ありましたが、やはり多いのは20代、30代。
実際に30代の俳優から直接「自分にはまだ早いのではないか」と
言われたこともあります。

実際、トムは50歳。
大学生の娘と18歳の息子がおり、レストラン経営を手広く展開する、
裕福な実業家。
そして、元モデルの妻を、病気で亡くしています。
しかも妻の病気が発覚したのは、
家族ぐるみで親しかったレストランの従業員キーラとの不倫が
妻に発覚した直後のことでした。
トムという役は、和解できないまま亡くなった妻への罪悪感と、
別れた後も忘れられないキーラへの想いの間でめちゃくちゃになる、
それはそれは大変な役です。

20代、30代の男性には確かに、ハードルが高いと思います。
というより、どんな俳優にとってもハードルが高いでしょう。
(ちなみに世界初演でトムを演じたのはマイケル・ガンボン。
『ハリー・ポッター』のダンブルドア校長です。)

しかし!

ナショナルシアター・ライヴをご覧になったらおわかりのように、
この芝居の特徴の一つは、30歳が大人で、
50歳がまるで子供であること。
トムは、粋がって見せたり完全に駄々っ子になったりと、
【50歳で子供もいる資産家】という色眼鏡で見てしまうと
痛い目にあう男です。

そして、キーラとトムは、その関係の基礎を、約20年の差がある
人生経験の部分に置いていません。

二人はこの芝居で一晩中ぶつかり合いますが、その基礎となっているのは、
互いに共有した過去、
そこからどうにかして歩み出そうと葛藤する現在の日々、
そして【幸せとは?】という問いへの、それぞれに相反する答え。
その背景には社会に対する、それぞれに相反した問題意識がしっかりと存在します。

男と女とは?
生きるとは?
愛する者への責任とは?
社会において人間は何を目指して生きるべきか?
そしてつまり、幸せとは?

『スカイライト』はそういった主題に丸裸&丸腰でぶつかってゆく、
とても大きな作品です。

そういった人間として向き合うべき大きな問いかけに年齢は関係ないと、
わたしは信じています。

また、実際に40代50代になった時に、
そのような大きな作品、大きな役に取り組むことができるよう、
20代30代で大きな役に取り組んでおく。
それこそワークショップでしかできない、
意義ある取り組みではないでしょうか。

物語の真ん中で物語を背負う、
そのために必要な【器】を培うのに、
早すぎることなどありません。

50歳で当たっても砕けてしまうような役に、
30代にして全力でぶつかって、粉々に砕け散っておく。
その経験は必ずやその俳優を鍛えてくれることでしょう。
俳優としても、人間としても。ひょっとして、男としても。

実は3つのワークショップとも、男性女性ともに【アクティング】参加の枠は
あっという間に定員に達しました。
『スカイライト』の男性【アクティング】枠だけが未だ定員に
達していません。
年齢が妨げとなっている方がもしいるのであれば‥‥と思い、
書きました。

ちなみに、冒頭に書いた「自分にはまだ早いのではないか」と
言ってきた俳優も、今回トム役にチャレンジすることになりました。

開催まで間がありませんが、引き続き、
『スカイライト』でトム役を演じたい!という俳優との出会いを、
求めています。


よろしくお願いします!



薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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# 追記あり:2016年 薛 珠麗ワークショップ 3か月連続開催のお知らせ
3月14日付け追記:
4月『令嬢ジュリー』ワークショップの追加クラスを開催します。



『スカイライト』
『令嬢ジュリー』
『クローサー』
をテキストに、ワークショップを開催します

___________________________________

「翻訳劇の言葉は過剰」と言われることは少なくありません。

例えば英語で書かれた戯曲の場合、背景に
「全てを言葉にして出し合う」という文化があるため、
日本語を母語とするわたしたちには
「形容や修飾が、過剰」
「相手への関わり方が理屈っぽい」
「言わなくても良いことまで、いちいち言葉にして主張している」と
感じられることも多いかも知れません。
それは、わたしたちにとって馴染みの薄い価値観、習慣、社会のもと
書かれたものである故の、違和感なのかも知れません。

では、俳優が翻訳劇のこの【過剰さ】をそのまま演じてしまうと、
その演技さえも【過剰】になってしまうのでしょうか?
翻訳家としても演出家としても、わたしはそうは思いません。

優れた翻訳劇の言葉には、時に「過剰」と受け取られるくらいの
【熱】や【生命力】があるのだと、わたしは考えています。
人物が、目の前にある状況をどうにかしようと、探し、紡いだ
言葉が 結果的に「過剰」と受け取られるのは、人物がそれだけ切実に
何かを望み、もがいているから。

ならば、俳優がそういった言葉を完全に自分のものにし、
自由自在に操れるようになった その先には
非常に豊かな世界が、待っているのではないか。

台詞とは、人物がその瞬間の自分の想い、考え、信念を伝えるため
「これしかない!」と掴み出した言葉です。
いわば、その瞬間に初めて生まれ出た言葉。
それを瞬時に理屈へと構築し、それを使って相手を説得します。
それを繋ぎ、互いに応酬することで、何が起きるかというと、
人物同士の関係性が衝動化します。
新鮮で驚きに満ちた展開をどんどん見せるようになるのです。
そして関係性が衝動化してゆくと、物語は逆に、必然性が強まります。

観る者に強く訴えかける演劇は、このようにして生まれるのでは
ないでしょうか。

ここに、3本の戯曲があります。
いずれも、人物たちが互いに、言葉を武器とし、自らの全存在を
かけて戦う様子を描いた戯曲です。甲乙つけがたい、たいへん
刺激的な3本です。

その3本をテキストに、3か月連続でワークショップを開催します。
優れた翻訳劇の力強い言葉を、自分のものにしてみませんか。

___________________________________

2016年 薛 珠麗 ワークショップ


■ 戯曲紹介 ■

第1期:
『スカイライト』
2015年「ナショナル・シアター・ライヴ」でも取り上げられて
話題に。デヴィッド・ヘアー作、1995年ロンドン初演。
最下層の地域で教える教師キーラと 裕福な実業家トムは、かつて
不倫関係にあった。トムの妻が病死した今、罪悪感がある種の
絆と化してしまった二人は、激しい愛憎を互いにぶつけ合う。

第2期:
『令嬢ジュリー』
近代演劇の父とも称されるスウェーデンの作家アウグスト・
ストリンドベリの1888年作品。気位の高い伯爵令嬢ジュリーは、
上昇志向の強い従者ジャンを蔑みつつ、同時に強く惹かれてもいる。
嵐のような求め合いの末、行き場がなくなったジュリーに、
ジャンはついに「命を絶て」と言い渡す。

第3期:
『クローサー』
パトリック・マーバー作、1997年ロンドン初演。2004年には
ナタリー・ポートマン、ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、
クライヴ・オーウェン出演で映画化。野良猫のようなストリッパーと、
夫と別居中の女性カメラマン。かつて小説家を夢見た新聞記者と、
もてない皮膚科医。2人の女と2人の男による【総当たり戦】。
どんなに求めても、奪っても、叫んでも訴えても、満たされぬまま
4人はどんどん 孤独へと落ちてゆく。

■ 講師紹介 ■

薛 珠麗(せつ しゅれい)
生まれも育ちも横浜市。国際基督教大学卒業の翌日、tptに参加。
海外演出家のアシスタント/演出補、戯曲翻訳、演出を手がけた後、
独立。演出作品にtpt『蜘蛛女のキス』、ギィ・フォワシィ・
シアター『ストレス解消センター行き/母からの手紙』、
音楽実験室 新世界『楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき』、
PLAY/GROUND Creation『ブルールーム』。翻訳作品に
tpt『エンジェルス・イン・アメリカ』『橋からの眺め』
『ブルールーム』、パルコ劇場『ハーパー・リーガン』、
帝国劇場『レディ・ベス』など多数。
『バーム・イン・ギリヤド』で第1回小田島雄志翻訳戯曲賞受賞。


ワークショップ詳細

■ 期間 ■

それぞれ5日間のワークショップになります。

第1期『スカイライト』ワークショップ:
3月29日(火)〜4月2日(土)

第2期『令嬢ジュリー』ワークショップ:
4月21日(木)〜25日(月)

『令嬢ジュリー』追加クラス:4月28日、29日、5月1日〜3日

第3期:『クローサー』ワークショップ:
5月16日(月)〜20日(金)


■ 時間 ■

13:00〜20:00


■ 場所 ■

新宿から電車で10分以内の駅を最寄り駅とする稽古場になります。


■ 参加形態 及び 定員 ■

いずれのワークショップも
【戯曲読解 及び ディスカッション】と
【実際に場面を演じてみる】が主な内容になります。
参加形態は2つあります。

【アクティング】参加:
5日間の期間中、毎日、実際に場面を演じる機会が
あります。
全日程ご参加いただける方が対象になります。
(遅刻早退に関してはご相談ください)
定員:各ワークショップとも男女6名ずつ、計12名(先着順)

【ディスカッション】参加:
実際に場面を演じる機会はありませんが、
戯曲読解におけるディスカッションを牽引して
いただけたらと思います。
「全日程は参加できないけど‥‥」
「1日しか参加できないけど戯曲が読んでみたい」
という方も、お待ちしています。
定員:各ワークショップとも12名前後(先着順)


■ 参加費 ■

【アクティング】 15000円

【ディスカッション】8000円
(NGのある方はご相談ください)


■ 募集対象 ■

【アクティング】参加:俳優
【ディスカッション】参加:俳優、スタッフ


■ 応募方法 ■

以下をメールでお送りください。
参加は【先着順】になります。

1)ご希望のワークショップ 及び 参加形態
2)お名前(ふりがな)
3)年齢
4)顔のわかる写真
5)パソコンからのメールが受け取れるメールアドレス
6)お電話番号

送り先:
shurei.official@gmail.com
ご質問、ご相談もこちらのアドレスへどうぞ。
(こちらのアドレスから受信できるよう設定をご確認ください)

尚、ご応募いただいてから24時間以内に返信がない場合、
お手数ですが、再度ご連絡をお願いします。
上記アドレスか、または Twitter へDMをお願いします。


第2期、第3期ともまだ先ですが、キャンセルはいつでも
お受けできますので、「予定はまだ決まらないけど興味は
ある」という場合は、まずご応募いただけたら幸いです。

___________________________________

お待ちしています!


薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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# ワークショップ開催のお知らせ / actors' playground 4th / 5th, w/ 薛 珠麗) (追記あり)
9月16日追記:

下記ワークショップは募集を締め切らせて頂きました。
たくさんのご応募、ありがとうございました!
4th のB参加(見学)のみ、男女問わず、全日参加可能でなくとも、
引き続きご応募いただけます。

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9月12日追記:

女性からのご応募は締め切らせて頂きました。
たくさんのご応募、ありがとうございます!
男性の方は引き続き9月15日までお申し込みを受け付ける予定です。
どうぞよろしくお願い致します。

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8月30日追記:

下記のワークショップ、ご応募多数のため、2回に分けて開催することになりました!

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今年の春、シアター風姿花伝さん主催で俳優のためのワークショップを開催しました。

2015年4月〜5月 開催
シアター風姿花伝さん主催による『俳優のためのシーンスタディ ワークショップ
開催/参加募集の告知
稽古場の公開の告知
終了後のまとめ

それに引き続き、しかし装いも新たに、俳優のためのワークショップを開催します。

今回は、昔からの演劇仲間である俳優=井上裕朗さんが中心になって運営している
『actors' playground』でのワークショップです。

actors' playground
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井上さんは、我が古巣=tpt(シアタープロジェクト・東京)でたくさんの
かけがえのない時間を共にした仲間です。
そして、春のシアター風姿花伝さん主催のワークショップにも俳優としてご参加
くださいました。

そんな彼が6月から始めたワークショップ(的なもの)、俳優のための遊び場である
actors' playground の第1回にわたしは見学に行き、「俳優だけが集まる場」という
ものに、様々な意味で衝撃を受けてしまったのです。

演劇を始めて21年、ひょっとしてわたしはなぁんにもわかっていなかったんじゃないか!
恐怖と焦燥と、そして今まで知らなかった世界への、期待と興奮。

早速第2回があるというので、しかも今度は演出家にも門戸を開くというので、
演技経験がゼロにも関わらず、後先考えずに応募。
人生で最も濃厚かもしれない5日間を過ごすだけでは飽き足らず、続けて
開催されたリピーター向けのワークショップ(的なもの)にも連続で参加した
ため、気づけばわたしは、2015年8月という時間を完全に actors' playground に
捧げていました。
(そこでの体験を書き留めたら約12万字という長さになりました!抜粋/編集
したのち、ここでも公開したいと思います。非常に刺激的な体験でした!)

ワークショップ参加者としての体験を踏まえ、その同じ場で、今度はわたし自身が
ナビゲートを務めます!

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『actors' playground 4th / 5th, w/ 薛 珠麗』

◼日程:
4th:2015年 9月30日(水)〜10月 5日(月)
5th:2015年10月 8日(木)〜10月13日(火) いずれも計6日間
◼時間: 13:00〜20:00 (延長の可能性あり)
◼場所: 都内某スタジオ(山手線より西に電車で10分ほどのところ)
◼参加費: (A参加) 14000円/(B参加) 10000円 (スタジオ代、その他諸経費含む)


◼応募資格:俳優

その他の情報や、開催にあたっての主催者の考えなど、詳細は
こちらへどうぞ!

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色々と初めてだった春のワークショップに比べると、より実践的で具体的に
変化した内容になると思います。

どうぞ、奮ってご応募くださいませ!


薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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# ワークショップ@シアター風姿花伝、無事に終了しました!


シアター風姿花伝さん主催の
【俳優のためのシーンスタディ ワークショップ】、
AB両日程、全て無事に終了しました!

シアター風姿花伝さんの
「俳優のためのワークショップを開催したい」と
わたしの「シアター風姿花伝で何かやってみたい」が
重なり、かつ劇場のスケジュールも奇跡的に合致し
開催が決まったこのワークショップ。

当初は日程=5月6日〜10日の5日間、
定員=14名ということで募集を開始しました。
内心「全然集まらなかったらどうしよう‥‥」と
心配していたのですが、蓋を開けてみると
嬉しいことにわたしたちの予想は大外れ!
定員の5倍以上という大きな反響をいただきました。
急きょ、やはり奇跡的に開催可能だった
4月30日〜5月4日の5日間という日程を追加して、
A日程B日程、計10日間のワークショップとなりました。
ご応募くださった皆さんの経歴に目を通すと
年齢層も演劇的バックグラウンドもお住いの地域も
非常にバリエーションに富んでおり、本当に多くの方が
今回の募集の段階でテーマとして掲げていた「翻訳劇」に
関して「より探求したい」という願いを持っているのだと
いうことが、もう、ひしひしと!伝わってきました。

テキストはわたしが選びました。
アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズの1946年の
短編戯曲、原題『27 Wagons Full of Cotton』です。
早川書房『テネシィ・ウィリアムズ一幕劇集(1966年)』に
『二十七台分の棉花(中田耕治訳)』として収録されている
戯曲ですが、わたしが新たに翻訳しました。
男と女のギリギリな状況での駆け引きが常に揺れ動きながらも
ダイナミックに展開するスリリングでエロティックな戯曲は
ワークショップのテキストとして使用するには少々ハードルが
高いかとも考えましたが、高いハードルに挑戦してこその
ワークショップではないか!と思い直して、決めました。

そうして始まったワークショップ。まずはA日程からでしたが、
シアター風姿花伝さんはワークショップの主催が初めてで、
わたしもこういった形でのワークショップは初めての部分も
多く、初めは手探りで進んでいきました。参加者の皆さんの
勇気と情熱という力を得て、最終日、一般に向けて稽古場を公開
した際には、全員のエネルギーが戯曲を通して火花を散らして
化学反応を起こすような、そんな状態へと全員が高まって
いけたのではないかと思います。

最終日にはA日程の参加者の皆さん、公開稽古にご参加いただいた
一般の皆さんからもご好評をいただき、「ここで見つかった
ワークショップの形を更に進化させよう」とB日程に臨んだ
わけですが‥‥「同じ戯曲、同じ場所、同じ人数なのに、人が違えば
こんなにも全てが違うのか!」と衝撃を受ける結果となりました。
当たり前といえば当たり前で、もちろんわたしたちもそのように
臨んだつもりだったのですが、何もかもがあまりに違うため
A日程で培ったものが何一つB日程では通用しない‥‥演劇とは
本当に生き物で、その生命を維持するための努力を一瞬も怠っては
ならぬのだと改めて痛感した次第です。

「俳優のためのシーンスタディ ワークショップ」と銘打った今回、
わたしたちは主に、それぞれの場面を色々なアプローチで
演じてみる、ということに取り組みました。テキストは主に
一組の男女が様々な手を使って互いに対して少しでも優位にあろうと
する、いわば主導権争い=パワーゲームですので、2人の間の
関係性を様々に捉えて試したり、主導権争い=パワーゲームに
おいて使う【手】を様々に捉えて試したり‥‥といったことです。
実際に場面を実践する俳優たちには、どの場面を、どの順番で
やることになるのか、時には誰と組むのかさえ、舞台に上げられる
その瞬間まで知らせませんでした。それを5日間、毎日です。
俳優たちは台本をしっかり読み込み、かつ特定の読み方に囚われず、
かつその時に組むことになった相手役から受け取る芝居や呼吸に
合わせて臨機応変に自分の演技や呼吸を変えていくことを、
求められたと思います。

わたしは演出家として「通常の公演に向けた稽古なら、少しずつ
取捨選択していく必要性が出てくるところ、ワークショップには
可能な限り広い捉え方をする自由がある」と考え、あえて
戯曲や場面や人物の本来の設定からは時にかなり距離のある
【課題】を俳優たちに投げてみたりもしました。

すると、どうでしょう。

テネシー・ウィリアムズが『ガラスの動物園』の翌年、かつ
『欲望という名の電車』の前の年に書いたこの戯曲には、そういった
いわば【飛躍】を全て受け止める器が、懐の深さが、ありました。

俳優たちもまた、想像もしていなかったカードを与えられても
台詞と相手と自分を信じて飛び込む柔軟性と軽やかな瞬発力と、
そして勇気を、見せてくれました。

結果的に、仮に本来の設定からからかなり離れたところから場面を
スタートしても、最終的には場面の、戯曲の、人物の、本質が
浮かび上がってくる__毎日が、その驚きの連続でした。

【正解】を探すより、たくさんの【問いかけ】を投げかけていく
ことの方が、本当の意味で【真実】に近づけるのかもしれない。
というより、【正解】なんてなくて、【真実】はいくつもあって、
それはその場に関わる全員で共に見つけたり、掘り出したり、
つくりだしていくもの。変わり続けていくもの。

そんなことを、演出席で毎日、考えていました。

それぞれの課題に向き合いながら大切なことを
身を以て互いに教え合った参加者の皆さんには、
どれだけ感謝しても足りません。
皆さんの勇気と繊細さと、そのひたむきな探求に乾杯!

また、5月4日と10日、2回の公開稽古にお付き合い
いただいた皆さん。5時間半もの長丁場、俳優たちの
探求に寄り添っていただき、本当にありがとうございました!

そして、シアター風姿花伝の支配人で女優で参加者でもある
那須佐代子さん。制作の中山大豪さん。
このようなワークショップを可能にしてくださり、
ありがとうございました!常々「ワークショップは
主催者の金儲けの手段にするべきでない」と考えてきた
わたしも驚いてしまうような破格の値段設定は、
「スケジュールさえ合えば誰でも参加できるように」という
シアター風姿花伝の考えと情熱によるものです。
また、稽古場でなく劇場を使わせていただいたことには
どれだけ感謝しても足りません!
通常、ワークショップというのは一般の稽古場や、公共施設の
会議室などで行われることも多いのです。
演劇の場として途轍もない力を持つシアター風姿花伝の
舞台の上で演劇の探求ができるなんて、こんな
贅沢なことがあるでしょうか!俳優たちの生身の体が、
呼吸が、言葉が、劇場ではやはり、研ぎ澄まされるのです。
その向こうにあるより深く大きな存在や、自分の生命の底まで
見つめさせられる。そんな力が、劇場には__とりわけ
シアター風姿花伝には、あるのです。
しかも今回、わたしたちがやっていた芝居に合わせて、
わざわざ茜色の明かりまで仕込んでいただきました。
いろんな意味で裸の状態で、劇的空間に存在する。
俳優にとって、そしてそれを観る者にとって、こんな贅沢な
ことはないと思います。ありがとうございました!

このワークショップは これから先の展開を特に決めて
開催したわけではありませんが、あの場に参加した全員の
「演劇にはもっと何かあるはずだ」という情熱を、この先へと
何らかの形で繋いでいけるよう、力を尽くしたいと思います。

あの演劇の場で出会えた一人一人が、演劇を探求する旅を
共に続けていく中で、再び出会い、更に豊かな演劇が
生み出されますように。生み出せますように。

ありがとうございました!



薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)


(敬称略)

 
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# 『薛 珠麗の俳優のためのワークショップ』@シアター風姿花伝 公開稽古のお知らせ
わたしの憧れの劇場であるシアター風姿花伝さんでやらせていただく
【俳優のためのシーンスタディ ワークショップ】ですが、先日、
参加募集が締め切られました。

予想も定員も大幅に超える反響に、もうびっくりしてしまいました。
「シアター風姿花伝さんの活動に近づいてみたい」
「翻訳劇は、もっともっと面白くできるはずだ」
そういう思いでいる方が、演劇界にはたくさん、いらっしゃるのだと。
そのように思います。

演劇を更に追求したい!高みを目指したい!という思いはもちろん
わたしも同じですので、それがますます熱く高まる場、時間に
できたら‥‥と考えています。

そんなワークショップ。
本当にご応募多数のため、2回に分けて開催するのですが、それぞれの
最終日を、一般公開することになりました。

といっても【発表】という考え方ではありません。
ワークショップのプロセスを、つまり稽古を、ご覧いただくということです。

完成した舞台を観客として楽しむのとはまた別の面白さに、
出会っていただけるのではないかと思います。
演劇を愛する皆さんに、演劇の一瞬一瞬が生み出される瞬間を、
目撃してみていただきたいです。

また、シアター風姿花伝という、小さいながらボルテージの高い演劇を
生み出す懐を持つ空間と、何の作品の色にも染められていない状態で
出会えるというのは、なかなか味わえない感覚だと思います。

詳細はシアター風姿花伝さんの公式ページに。

日時:
A: 5月 4日(祝)
B: 5月10日(日)

通し : 13時〜18時30分
前半 : 13時〜15時30分
後半 : 16時〜18時30分
※途中の入退場は15時30〜16時の休憩の間のみとさせて頂きます。

シアター風姿花伝でお待ちしております!


薛 珠麗(せつ しゅれい Shurei Sit)
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